「オトナの入り口・複雑なウソ」

 
 いままで言葉にも文章にもしたことがないことですが、
 「ニシグチ15才のウソ」をカミングアウトします。



 中3の終わり頃です。
 毎朝、Yくんと一緒に登校するのが当たり前になっていました。
 1年ぐらいは続いていたと思います。


 Y君とは、クラスは別でしたが、家が近所でお互いスポーツ好き同士
 で親友とよべる仲でした。


 最初は、ニシグチが迎えに行ったり、Y君が迎えに来てくれたり、
 途中で出会ったり、そんな朝の日課でした。



 ところが半年目ぐらいから、
 ニシグチが迎えに行くのが当たり前になってきました。


 原因は、
 ニシグチが早く起きるようになったんじゃないんです。
 Y君が遅刻すれすれにやっと登校準備が
 できるというようになってきたんです。



 ニシグチとしては、かなり余裕の時間に自宅を出ています。
 ところがこのままでは、Y君のせいで遅刻になりかねません。




 ニシグチ少年は、生まれて初めて「複雑」に悩みました。
 「もっと早う起きろや!」
 「オレ、明日から一人で学校行くで!」
 気兼ねなく話せる友人のはずなのに、
 これが言えないんです。



 56才のニシグチを知っている人は信じてもらえないと思いますが、
 言い出す勇気がなかったのです。



 1ヶ月悩んだあげく、
 「クラスで毎朝、
  授業前に卒業文集の打合せをすることに
  なったんや。
  悪いけど明日から一緒に学校行かれへんわ」
     
     全くのウソをつきました。



 「Y君、本当は君のせいで遅刻したくなかったんや。
  ウソついてごめんな」



 41年ぶりのカミングアウトでした。 オレもトシか、、、、