相続財産の中に『農地』がある場合に注意したいこと

 

今回は、

「相続財産の中に『農地』がある場合、自宅等の不動産とは違う手続きが必要だったりしますか?その他、注意することがあれば教えてください。」

との質問をいただきましたので、以下簡単にはなりますが、回答してみたいとおもいます。

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まず、『農地』も亡くなった方の相続財産の1つですから、他の相続財産同様に、有効な遺言書がなければ、相続人全員による遺産分割協議によって、誰が相続をするかを決める必要があります。
(もちろん、一人だけで相続せず複数人での共有にして持分を決めるという方法も可能ですが、一般的な不動産も含めて、後々共有不動産だと利用処分にあたり意思統一を図ることが困難になった時に面倒なので、単独所有をおすすめします。)

「農地を相続する人」イコール「農業を承継する人」である必要はありません。
ですので、亡くなった方の自宅等の土地や建物同様に、遺言書や遺産分割協議書にもとづいて相続人(または受贈者)が、相続を原因とする所有権移転登記手続きをするというところまでは一緒の手続きで大丈夫です。

 しかし、農地の場合は、相続登記完了後に、農業委員会に「農地法第3条の3第1項の規定による届出」を提出する必要があります。
この届出を怠ると10万円以下の過料に処せられるという規定もあるので、忘れず提出しましょう!

 そして、農地を相続した人は、農業は承継する意思がなくても、農地の所有者として農地法のルールに必ず従わなければならなくなります。

 具体的には、誰かに農地のまま売却や賃貸借する場合、自ら農地以外として利用する場合、誰かに農地以外のものにする目的で売却や賃貸借する場合など、それぞれに農地法にもとづく農業委員会や都道府県知事又は指定市町村長に対して、許可や届出を事前にする必要があります。
 
また、農地区分によっては、農地以外として利用してはいけないエリアにある農地もありますし、一定規模以上の農地を農地以外で利用する場合には都市計画法にもとづく開発許可手続きも必要になったりします。

 相続財産に『農地』がある場合は、その農地が、市街化区域にあるのか市街化調整区域にあるのか、必ず確認しましょう。
市街化調整区域にあるのであれば、どの農地区分に分類されているのかを、遺産分割協議の前段階でしっかりリサーチし、その農地を相続した後はどう活用するのか具体的なイメージをもったうえで、相続するのか(場合によっては相続放棄すべきか)を判断する必要があります。なかなか、複雑な判断になると思いますので、必ず専門家に相談しながら決断されることをお薦めします。

 特に、市街化調整区域にある農地の場合や、市街化区域であっても生産緑地に指定されている農地の場合は、一筋縄ではいかないケースも散見されますので、早め早めに専門家に相談することが大切だ。ということを覚えておいてくださいね。

もちろん、遺言書で「農地」について書く場合も同様事前リサーチをしたうえで、誰に譲るのか、処分の方法などを熟考することをおすすめします。そうでないと、せっかく大切な相続人(受遺者)のことを想って作成する遺言書なのに、ただ迷惑な押し付けにしかならないケースもあるので注意してくださいね。 

 今時は農業承継されない方も多いので、前述した「農地法第3条の3第1項の規定による届出」書の中に、「農業委員会によるあっせん等の希望の有無」という欄が設けられています。相続人が今後農業を行わない場合は、「有」を選択して、農業委員会で、農地処分の方法や自分の代わりに農業を続けてくれる人を見つけてもらうなどのサポートを受けることができるようにはなっていますので、各農業委員会で温度差はありますが、専門家への相談とあわせて、こちらの制度も利用してみてもいいかもしれませんね。

 以上簡単ですが、今回いただいた質問への回答とさせていただきます。

 

大阪は、また明日から緊急事態宣言措置期間に突入です。ストレスフルな猛暑下での自粛生活が続きますが、皆様くれぐれもご自愛のうえお気をつけてお過ごし下さいませ。マスクをしていると水分補給を忘れがちですので、私も気をつけたいとおもいます。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美 

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相続放棄しても、生命保険金の受取人になれるのか問題

今回は、こんなご質問にお答えします。

「父が多額の負債をかかえたまま亡くなりました。相続人は母と私です。父は母を受取人とする生命保険を掛けていたようで、今回死亡保険金を受取ることができるそうなのですが、父の債権者がこのことを知って、相続人としてその保険金で父の借金を返済するよう要求してきました。
できれば、介護が必要になってきた母の今後の生活のために生命保険金は使いたいとおもっているので、相続放棄したうえで生命保険金は受け取れるようにしてあげたいのですが可能ですか?

以下、回答を書かせていただきます。

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「死亡保険金」は、保険金受取人が保険契約に基づく固有の権利として取得するものなので、相続財産には含まれない。と判断されるのが一般的です。

そのため、今回のご質問ケースの場合だと、相続人のお二人が各々「相続放棄」を家庭裁判所に申述し、受理されれば、そもそもお二人は相続人ではなくなりますので、お母様が「死亡保険金」を受け取ったとしても、それをお父様の借金返済に充てる必要はありません。

ただし、今回のご質問内容だけでは、「お父様がいつ亡くなられたのか?」「相続財産全体の把握をしたうえで、プラスの財産(金融資産や不動産など)の合計額よりマイナスの財産(借金など)の合計額のほうが多いと判断されたのか?」「生命保険契約に特殊な取決めなどはなかったのか?」などがわかりません。

もし、お父様が亡くなられてから3ヶ月以内に「相続放棄」の手続きをとれなければ、原則承認したものとみなされますので、その場合は、借金も相続人2名で相続してしまうため、受け取った生命保険金はもとより、ご自身らの固有財産から借金返済をするはめになりかねませんので、くれぐれもご注意ください。
 もっとも、お父様の死亡から既に3ヶ月越えてしまっておられる場合でも、相続放棄の申述が受理される場合も事情によっては可能ですので、あきらめずにまずは速やかに専門家に相談することをおすすめします。

 また、「相続放棄」には期限による不受理だけではなく、相続人が相続財産の一部を処分した場合や、自己のために費買った場合、隠匿した場合など相続承認とみなされることにより不受理となる場合がありますので、あわせて注意していただきたいとおもいます。

 さらに、「相続放棄」するということは、お父様の借金だけでなく財産のすべてを放棄するということです。
なので、本当に今回「相続放棄」手続きを取ることがベストな方法なのかは、すべての相続財産を正確に把握したうえでないと判断がつかないはずです。

 決して素人考えで進めず、必ず専門家に全体把握をしてもらったうえで、速やかに手続きを始められることをおすすめします。

 以上簡単ですが、今回いただいた質問への回答とさせていただきます。

 

 緊急事態宣言措置は解除されたとはいえ、まだまだ先行き不透明な日常が続きそうですので、皆様くれぐれもご自愛のうえお気をつけてお過ごしくださいませ。

 蒸し暑い中でのマスク生活、熱中症にも注意したいところですね。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美 

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『相続対策』って具体的にどんなことをすればいいの?

今回は、

「相続対策をしといたほうがいいよ。とよく耳にするのですが、具体的には、相続対策ってどんなことをしておけばいいのですか?」というご質問をいただきました。

 全く同じ人生はまずないので、『相続』も実は人それぞれ異なります。なので、具体的にどんな『相続対策』をしておくことがおすすめか。ということは、相談者さんの相続に係わる様々な現状をじっくり聞取りさせてもらって、その方の問題点・心配事・不安材料がどこにあるのかを、しっかり見極めないと安易に回答させていただくことはできません。
 なので、以下あくまで一般的・基本的な『相続対策』について、簡単に整理しつつ回答してみたいとおもいます。

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いわゆる『相続対策』といわれているものには、大きく分けて、

*「相続税」の納税と節税の対策

*「円満相続」に必要な対策

のふたつがあります。

 まず、「相続税」に関する対策ですが、節税対策としては、主に以下の3つの方法があります。

①相続財産を減らす
 非課税枠や相続時精算課税を利用した生前贈与、配偶者への自宅贈与、親から子や孫へのマイホーム資金等の贈与、墓地など非課税財産の購入、寄付などが具体例となります。

②特例等の制度を利用する
 生命保険の非課税枠、養子縁組、配偶者の税額軽減、正気お宅地等の減額特例を使う事などが具体例となります。

③財産の評価を下げる
 現金や預貯金を土地に替える、更地にはアパート等建てる、広大地評価を利用、土地の買換えなどが具体例になります。

これらの対策は、今のままでは相続税を思っている以上に払わなくてはいけない方に
必要な相続対策ですので、基礎控除の範囲で十分相続税は払わずに済むな。という方にとっては、あまり意味のない対策ということになります。
また、必要な方でも、この節税対策をやりすぎてしまい自分の老後資金が底をついて
しまったり、直ぐに現金に代えられない不動産ばかりが遺産となったことにより納税資金が払えなくて相続人が返って苦労をするといった本末転倒なケースもお見かけします。

 ですので、相続税対策をしっかり具体的にやる必要があるようでしたら、必ず相続税について理解している専門家に相談しながら進められことをお薦めします。

 次に、「円満相続」に必要な対策ですが、こちらは相続税対策とは異なり、より多くの方に必要となる(対象となる)相続対策となります。

 なにをもって『円満相続』とするのかは、人の価値観によって様々なのだとおもいますが、今回は、『円満相続』とは、自分の様々な財産(人生そのものかも?!)を、死後も本人の望みに沿って活用してもらえるよう、かつ、遺された大切な人達の負担や不満から相続紛争に発展することのない方法で、引き継ぐこと。仮定義させていただくとするなら・・・

まず、全員の方に必要な対策といえるのが、『エンディングノート』の作成です。
最初にエンディングノート作成からスタートすることで、お金や物・人間関係の棚卸しができ、それをもとに自分のエピローグも設計でき、そして、なにより備忘録帳ですので、相続人や介護してもらう人へのガイドブックとなるだけでなく、普段はいえない感謝の気持なども書き遺せますので、円満相続のためには、マスト対策ではないでしょうか。(相続対策だけでなく生前からの対策ができることも大きなメリットですし。)
  
また、エンディングノートを書き進めると、自分が何にこだわっているのか・同相続人達に自分の遺産を渡すことがいいことなのか・自分は何に執着しているのか・不安なのかなどが客観的に整理できてくるとおもいます。
 それにあわせて、「遺言書作成」「任意後見契約」「死後事務委任契約」「民事信託契約」「商事信託活用」「生命保険見直し」「墓じまい」など、それぞれにあったプラスアルファ必要な相続対策を、元気なうちに、思い立った時が吉日とおもって、専門家と相談しながら進めて行く。ということが、円満相続に必要な相続対策だと私は考えます。

 以上簡単ですが、今回いただいた質問への回答とさせていただきたいとおもいます。


またもや緊急事態宣言期間が延長され、先行き不透明な日常が続きますが、皆様くれぐれもご自愛のうえお気をつけてお過ごしくださいませ。
 私も、細めな手洗い・うがい・換気と免疫力維持のための食事と運動・出かけるときはマスク忘れずに。を心がけたいとおもいます。

それではまた。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美 

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生命保険を利用すると相続対策になるってほんと?

今回は、
「生命保険は相続対策になるから、入ったほうがいいよ。と友人にすすめられたのですが、具体的にどんなメリットがあるのか教えてください」というご質問をいただきましたので、以下、簡単にですが回答してみたいとおもいます。

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生命保険の種類や入り方にもよるのですが、生命保険に加入していると、相続に関して以下のようなメリットがある。といわれています。

1つめは、相続税対策としてのメリットです。
今のところではありますが、生命保険金には、500万円×法定相続人の人数分の非課税枠があるので、相続税を払う必要がある相続財産をお持ちの場合は、現金等で遺してもらうより相続税負担を減らすことができるため、相続税対策として効果的と考えられています。

次に、納税資金や葬儀費用支払い対策としてのメリットです。
預金等の遺産は遺産分割協議が確定するまで、特定の相続人へ名義変更することができないため、支払期限のある相続税の支払いや個人の介護施設や病院への支払い・葬儀費用などを相続人の誰かが立替えすることになり、そのことでまた相続人間で揉める。といったことがあります。
その点、生命保険は、民法上の相続財産には含まれませんので、受取人固有の財産として遺産分割協議と切り離して手続きでき、死亡保険金受取請求後、早ければ1~2週間程度で現金化できるため、相続税支払や相続人達の一次持出し対策として効果的と考えらえています。

さらには、争続対策としてのメリットもあります。
例えば、家業をついでもらいたいということもあって、長男にすべての財産を相続させる。という遺言書を作成することにしたが、万一弟がその内容を不服に思って遺留分請求してきた場合、長男に家業をまもりながら、遺留分の現金を払える余力があるのか心配ですよね。そんな時のために、長男を受取人として、遺留分に相当する額の生命保険に加入しておいてあげると、争続対策として効果的だと考えられています。

以上のような主なメリットもあるので、「生命保険」は、使い方を間違えなければ、有益な相続対策ツールのひとつです。
どんな生命保険が自分の相続対策にとって有益なのかをしっかり見極めたうえで、上手に活用してみてくださいね。
ただし、契約時に特に注意していただきたいことがあります。

それは、生命保険の契約の仕方・状況によって、受取金にかかる税金が、相続税ではなく、贈与税所得税になってしまう可能性もあるということです。
保険契約に登場する「契約者」「被保険者」「受取人」を誰にしたどんな種類の保険に入るのかがポイントになりますので、十分理解した上で加入する生命保険を決められることをおすすめします。

また、保険料の支払いで生前の家計を圧迫するようでは、本末転倒といれるでしょうから、くれぐれもバランスよく取り入れることをおすすめします。

今回ご紹介した生命保険の活用方法の他にも、生命保険の受取金を信託することによって、遺された障害を持つ子供や認知症の妻の生活費を定期的にカバーすることができる『生命保険信託』という契約商品も、最近の社会的問題への対策として需要が高まっているように感じます。

自粛下でのGWですし、人生の棚卸のひとつとして、一度自分に合った保険についてじっくり検討してみるのもいいかもしれませんね。

 今回のコラムを読んでいただいて、もう少し具体的な話が聞きたい。と思われた方や、
個別に生命保険の加入や見直し考えてみたいな。と思われた方は、よかったら So-ken主催のラストハウスでの無料相談会やリモート相談を利用してみてくださいね。私も、お金と法律のプロのひとりとして参加しています。

 では今回はこれで失礼します。
今年のGWも大阪は緊急事態前言下での自粛生活となってしまいましたね。
ストレスフル&不安な日々ですが、皆様くれぐれもご自愛のうえお過ごしくださいませ。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美 

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法定相続人の中に行方知らずの人がいる場合、遺産分割協議はできないのか問題

今回は『相続手続き』に関して以下のご質問をいただきました。

「父親が亡くなったので相続手続きをはじめたいのですが・・・。実は父には離婚歴があり、母親に引き取られた娘(私の腹違いの姉)が一人いることは父から聞いて知ってはいたものの、父や親戚とも完全に疎遠になってしまったようで、今何処でどんな暮らしをされているのか全くわかりません。
遺された高齢の実母の介護費用等の立替にも限界があるので、できるだけ早く父の遺産分割協議を済ませたいのです。でも腹違いの姉を見つけられなければ遺産分割協議はできないんですよね?」

こちらのご質問に、簡単にではありますが回答してみたいとおもいます。

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確かに、今回のケースだと、法定相続人は『配偶者と子』ですので、行方を知らない母違いのお姉様(異母姉)も、相談者と同順位の法定相続人ということになります。
そして、遺産分割協議は法定相続人全員一致で成立させないと効力が生じません。

ですから、異母姉も相続人であるのはまちがいないので、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

とはいえ、可能な範囲で居所調査をしても行方不明な場合の救済措置がなければ、現在のような多様化・核家族化の社会では、遺産分割協議ができないケースが沢山生まれかねません。

そこで、このような困った状況の場合には、不在者の従来の住所地にある家庭裁判所に、「不在者財産管理人」の選任を申し立て、選任された「不在者財産管理人」が行方知れずになった相続人のかわりに遺産分割協議に参加して、協議を成立させることができるようにはなっています。民法 第25条~29条参照)

もっとも、今回の相談事例のような場合でいうと、相続人の確定調査として行う必要があるお父様(亡くなった方)の一生分の戸籍収集からはじめて、各相続人の現在戸籍に辿り着く事ができますし、それらの戸籍と住所地をリンクさせる「戸籍の附票」というものを入手すれば、異母姉の住所を知る事が出来る場合もあります。

住所がわかれば、手紙などで状況連絡をして遺産分割協議に参加してもらえるようお願いすることが可能ですので、ここらあたりまでは最低限やってみて、やはり連絡がつかない。となった段階で「不在者財産管理人」の制度を使うことを検討されることをおすすめします。

というのも、「不在者財産管理人」の役目は、不在者に権利のある財産を守ることになりますから、遺産分割協議でも不在者の法定権利分を守る主張をするので、そんな主張をされては困る。といったご事情があるご家庭の場合は、自分達で不在者を見つける努力をされることをお薦めします。

そしてもちろん、このようなケースの場合は、素人さんがへたにやると、時間と費用の無駄遣いになることも多いので、早めに専門家に相談してすすめるようにしてくださいね。

今回のご質問者のケースとは異なる可能性が高いですが、相続人のひとりである異母姉の生死そのものが不明な場合は、「失踪宣告」の手続きを取るほうが良い場合もあります。また、失踪宣告にはいくつかのケース想定の要件があるのですが、この要件を満たし宣告を受けると、その人は宣告の時点で死亡したものとみなされます。よって、相続の時期によっては、法定相続人が誰かが変わってくる場合もあるので慎重に検討する必要があるので、このような場合も早めに専門家に具体的な相談をすることをお薦めします。

今回の御質問者の方のように、離婚歴があって全配偶者との間にお子さんがいるような方は、現家族のために是非、『遺言書(できれば法律の専門家を遺言執行者指定入り)』を作っておいてあげてほしいな。と改めて実感した今回のご質問でした。

 では今回はここまでとさせていただきます。

まだまだコロナ禍・黄砂など体調管理に苦労する日常ですが、皆様くれぐれもご自愛のうえお過ごしくださいませ。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美 

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『生前贈与』は、誰のために・どんな方法で・いつまでに?

今回は、『生前贈与』に関して、昨年の民法改正や令和3年度税制改正大網によって内容変更になっているものを中心に、簡単にではありますが、ご紹介したいとおもいます。

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まずは、昨年7月1日より、自宅を婚姻期間20年以上の夫婦間で生前贈与した場合、相続時その自宅は遺産分割の対象から外れることになりました。
以前は、生前に自宅をもらってしまったことで相続時に預貯金など全く相続できなくなってしまったといった本末転倒なケースも散見されましたが、この改正によって、「遺産となる財産はほぼ自宅不動産のみかも・・遺産分割で揉めないといいけど。」
などと思われているご高齢夫婦にとっては、リスク軽減を図ることができる生前贈与の選択肢が増えた有益な改正かなとおもいます。

次に、税制改正(令和3年4月1日以降に贈与された資金から適用分)に関連して、30歳未満の子供や孫に教育資金として非課税で一括贈与できる特例制度について変更があります。
この制度の適用期限が、2年延長されて令和5年3月31日までとなりました。しかし同時に、現行制度では、贈与者の相続開始時点で、贈与された教育資金の残額に相続税がかかりますが、その対象となるのは、死亡日以前3年以内に贈与されたものに限られていました。
でも、今回の税制改正で、「死亡日以前3年以内」の制限はなくなり、贈与者死亡時点で残っている教育資金贈与は、全額相続税の課税対象となります。

さらに、現行では、受贈者が孫であっても、相続税は2割加算にはなりませんでしたが、改正により、受贈者が孫の場合は、相続税額の2割加算が適用されることになりますので、制度運用厳格化の改正といえそうです。
もっとも、受贈者が23歳未満である場合や、23歳以上でも学生だった場合には相続税は課されないという点は、改正後も維持されていますので、純粋に「お子さんやお孫さんの教育のために」自分の財産を生前から有効に使いたいという明確な御意思がある方には、最大1500万円まで非課税のこの制度は、検討価値のある生前贈与方法のひとつだとおもいます。
ただし、この制度を利用するには、信託銀行等と契約を結ぶ必要もありますので、改正内容だけでなく、契約内容等にもご注意ください。

なお、もうひとつよく似た非課税制度として「20歳以上50歳未満の子供や孫への結婚・子育て資金の一括贈与1000万円まで非課税」があります。
こちらも今回の改正で、同様に適用期間2年延長になり、孫の場合の2割加算が適用されることになりましたが、現行でも贈与者の相続開始時に使い残し全額に相続税がかかっていますので、この点は教育資金と異なるところです。

ということで、今回の税制改正によって、この2つの非課税一括贈与の特例制度を相続税対策として利用したいと考えておられる方は、改正後の適用を受ける令和3年4月1日より前に実行しておくほうがよいかもしれませんね。

これら2つの特例以外にも、今回の税制改正で、「20歳以上の子供や孫への住宅取得等資金を一定額非課税で贈与できる制度」も変更されています。非課税額の枠や非課税の条件が拡充されています。
(改正内容は少し説明が長くなりますので今回は省略させていただきます。ご興味のある方は個別相談等でお問合せください。)
この特例利用も、自分の財産は生きているうちに、子供や孫のために有益に使って、かつ少しでも相続対策になれば。というお考えの方には、生前贈与のひとつの方法として有益な選択肢のひとつだとおもいます。

 以上簡単にですが、いくつか使えそうな生前贈与方法についてご紹介しました。
この他にも、皆さんもご存じだとおもいますが、連年贈与という年間110万円以下を非課税で贈与していく方法は、相続税対策としての生前贈与としてはメジャーになりつつあるように感じます。でも、この制度も今後は改正される可能性が大かもです。
 
全体的に相続税対策に使えそうな贈与税の特例制度は今後使い勝手が悪くなっていく可能性が高そうですので、利用すると決めておられる方は早めに済ませておかれることをおすすめします。

 最後にひとつ、よく勘違いされている方がいるのでお伝えしておきますが、お子さんやお孫さんに一般常識の範囲額の生活費や結婚費用・教育費など必要なお金を都度渡してあげる分に贈与税はかかりません。
ですので、今回ご紹介した特例制度は、将来に備えて一括贈与しておいた方がメリットあるな。とお考えの場合に活用する生前贈与の選択肢としてご検討くださいね。

 

 では今回はここまでとさせていただきます。
具体的に生前贈与について検討したい・相談したいと思われた方は、 So-ken主催のラストハウスでの無料相談会やリモート相談も是非ご利用くださいね。私も参加しています。

コロナ禍・季節の替わり目と体調管理に苦労する今日この頃ですが、皆様くれぐれもご自愛のうえお過ごしくださいませ。

 

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令和2年分の確定申告に関して押さえておいてほしいことは・・・

さて今回は、終活・相続からは少し離れますが、みなさまにとって時事の関心事ではないかとおもうので、令和2年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告(令和3年2月16日~令和3年3月15日申請期間)に関連して、変更点や受取ったコロナ関連の主な給付金の取扱い、その他コロナ関連の特例等について、FPとして簡単かつ一般的な内容にはなりますが、情報発信させていただきたいとおもいます。

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まずは、主な変更点ですが以下となります。

公的年金等控除が改正されました。
公的年金等収入が1,000万円を超える方の控除額に上限が設けられました。
公的年金等以外の所得金額が1,000万円を超える方の控除額が引き下げられました。

基礎控除が改正されました.
基礎控除が38万円から48万円に引き上げられるとともに、合計所得金額が2,400万円を超える方の控除額が引き下げられ、2,500万円を超える方の控除が廃止されました。

■ 給与所得控除等から基礎控除へ振替えられました。
給与所得控除及び公的年金等控除の控除額が10万円引き下げられ、基礎控除
控除額が10万円引き上げられました。

■ 給与所得控除が改正されました。
・給与収入が850万円を超える方の控除額が195万円に引き下げられました。
・子育て世代等に配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する方には、負担増が生じない措置が講じられています(所得金額調整控除)。

青色申告特別控除が改正されました。
・65万円の青色申告特別控除の適用要件に「電子帳簿保存」又は「e-Taxによる電子申告」が追加されまし た。これによって昨年同様の申告書作成の場合は、10万又は55万円の控除しか受けられなくなります。

■ ひとり親に対する税制上の措置等がされました。
・婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子を有する所得500万円以下の単身者について、「ひとり親控除」(控除額35万円)が創設されました。
・上記以外の寡婦については、引き続き寡婦控除として、控除額27万円を適用することとし、所得制限(所得500万円)が設けられました。

■ チケット寄附税制の創設。
新型コロナウイルスの影響により一定のイベントの中止等をした主催者に対して、入場料等の払戻しの請求をしなかった場合のその入場料について、寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とされました。

■ 居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化。
※こちらの詳細についてご興味のある方は、国税庁の下記HPアドレス上の資料でご確認ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/r02kaisei.pdf

そして、ここまでご紹介した所得税及び復興特別所得税上の改正とあわせて、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置として、以下のような特例等もあります。
 ・納税の猶予制度の特例
 ・欠損金の繰戻しによる還付制度の特例
 ・テレワーク等のための中小企業の設備投資税制
 ・住宅ローン控除の適用要件の弾力化
 ・消費税の課税選択の変更に係る特例
 ・特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税

各特例等の詳細は、国税庁のHP「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/keizaitaisaku/index.htm
でご確認ください。


次は、皆様が新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として受け取れられた一律一人10万円の「特別給付金」や個人事業主等で要件を満たした方々が受取られた「持続化給付金」「家賃支援給付金」の確定申告時の取扱いについてです。

特別給付金」については、「非課税対象」なので、年末調整や確定申告で触れなくても問題ありませんが、「持続化給付金」「家賃支援給付金」等については「課税対象」のため、確定申告書の「雑収入」欄に受取額の記載をし、 通常の個人事業主や法人の場合は「事業所得」・委託契約だけど給与の形で報酬が支払われているフリーランスの方の場合は「一時所得」・税務署の指導で所得を雑所得として申告している個人事業主の方の場合は「雑所得」に区分していただくことになるかとおもいます。 

なので、実質休業状態で経費を使わなかった場合は、給付金総額が所得として課税 対象となりますので、所得控除等で調整できなければ今年度よりも来年度の住民税や社会保険料等の負担額が増額される場合もありえますね。
 
今回ご紹介したものだけでなく、今年は色々とコロナ関連で損金計上できるものがあったり、税金面・支払に関する優遇措置や様々な猶予制度がとられていてるため、気になった方は、お早めに税理士さんにご相談されることをおすすめいたします。

 

 

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