『生前贈与』は、誰のために・どんな方法で・いつまでに?

今回は、『生前贈与』に関して、昨年の民法改正や令和3年度税制改正大網によって内容変更になっているものを中心に、簡単にではありますが、ご紹介したいとおもいます。

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まずは、昨年7月1日より、自宅を婚姻期間20年以上の夫婦間で生前贈与した場合、相続時その自宅は遺産分割の対象から外れることになりました。
以前は、生前に自宅をもらってしまったことで相続時に預貯金など全く相続できなくなってしまったといった本末転倒なケースも散見されましたが、この改正によって、「遺産となる財産はほぼ自宅不動産のみかも・・遺産分割で揉めないといいけど。」
などと思われているご高齢夫婦にとっては、リスク軽減を図ることができる生前贈与の選択肢が増えた有益な改正かなとおもいます。

次に、税制改正(令和3年4月1日以降に贈与された資金から適用分)に関連して、30歳未満の子供や孫に教育資金として非課税で一括贈与できる特例制度について変更があります。
この制度の適用期限が、2年延長されて令和5年3月31日までとなりました。しかし同時に、現行制度では、贈与者の相続開始時点で、贈与された教育資金の残額に相続税がかかりますが、その対象となるのは、死亡日以前3年以内に贈与されたものに限られていました。
でも、今回の税制改正で、「死亡日以前3年以内」の制限はなくなり、贈与者死亡時点で残っている教育資金贈与は、全額相続税の課税対象となります。

さらに、現行では、受贈者が孫であっても、相続税は2割加算にはなりませんでしたが、改正により、受贈者が孫の場合は、相続税額の2割加算が適用されることになりますので、制度運用厳格化の改正といえそうです。
もっとも、受贈者が23歳未満である場合や、23歳以上でも学生だった場合には相続税は課されないという点は、改正後も維持されていますので、純粋に「お子さんやお孫さんの教育のために」自分の財産を生前から有効に使いたいという明確な御意思がある方には、最大1500万円まで非課税のこの制度は、検討価値のある生前贈与方法のひとつだとおもいます。
ただし、この制度を利用するには、信託銀行等と契約を結ぶ必要もありますので、改正内容だけでなく、契約内容等にもご注意ください。

なお、もうひとつよく似た非課税制度として「20歳以上50歳未満の子供や孫への結婚・子育て資金の一括贈与1000万円まで非課税」があります。
こちらも今回の改正で、同様に適用期間2年延長になり、孫の場合の2割加算が適用されることになりましたが、現行でも贈与者の相続開始時に使い残し全額に相続税がかかっていますので、この点は教育資金と異なるところです。

ということで、今回の税制改正によって、この2つの非課税一括贈与の特例制度を相続税対策として利用したいと考えておられる方は、改正後の適用を受ける令和3年4月1日より前に実行しておくほうがよいかもしれませんね。

これら2つの特例以外にも、今回の税制改正で、「20歳以上の子供や孫への住宅取得等資金を一定額非課税で贈与できる制度」も変更されています。非課税額の枠や非課税の条件が拡充されています。
(改正内容は少し説明が長くなりますので今回は省略させていただきます。ご興味のある方は個別相談等でお問合せください。)
この特例利用も、自分の財産は生きているうちに、子供や孫のために有益に使って、かつ少しでも相続対策になれば。というお考えの方には、生前贈与のひとつの方法として有益な選択肢のひとつだとおもいます。

 以上簡単にですが、いくつか使えそうな生前贈与方法についてご紹介しました。
この他にも、皆さんもご存じだとおもいますが、連年贈与という年間110万円以下を非課税で贈与していく方法は、相続税対策としての生前贈与としてはメジャーになりつつあるように感じます。でも、この制度も今後は改正される可能性が大かもです。
 
全体的に相続税対策に使えそうな贈与税の特例制度は今後使い勝手が悪くなっていく可能性が高そうですので、利用すると決めておられる方は早めに済ませておかれることをおすすめします。

 最後にひとつ、よく勘違いされている方がいるのでお伝えしておきますが、お子さんやお孫さんに一般常識の範囲額の生活費や結婚費用・教育費など必要なお金を都度渡してあげる分に贈与税はかかりません。
ですので、今回ご紹介した特例制度は、将来に備えて一括贈与しておいた方がメリットあるな。とお考えの場合に活用する生前贈与の選択肢としてご検討くださいね。

 

 では今回はここまでとさせていただきます。
具体的に生前贈与について検討したい・相談したいと思われた方は、 So-ken主催のラストハウスでの無料相談会やリモート相談も是非ご利用くださいね。私も参加しています。

コロナ禍・季節の替わり目と体調管理に苦労する今日この頃ですが、皆様くれぐれもご自愛のうえお過ごしくださいませ。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美 

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