相続した『空き家』の売却を検討する時に知っておきたい『譲渡所得の特別控除特例』

 

今回は、こんなお問い合わせをいただきました。

「母の相続で、田舎にある実家(古い家とその敷地)を相続しました。
父は既に他界しているので、私と弟が相続人になるのですが、どちらも今後実家に戻る予定はありません。
実家をこのまま空き家で放置してご近所へご迷惑をかけるのではないかも心配ですし、売却してしまえたらと考えています。
空き家の場合は税金面での優遇制度もあると聞いたのですが、どのような制度でしょうか?」

以下簡単に、一般的にはなりますが、回答させていただきたいとおもいます。

 

空き家

全国にある『空き家』の敷地面積を全部たすと九州全土ぐらいの面積になるのでは。
と以前テレビ番組でも取り上げられていましたが、『空き家』増加は今や重大な社会問題のひとつですよね。

なので、国(行政)としては、『空き家』発生を抑制するような防止対策が必要ということで、平成28年税制改正から採用された特例措置のひとつが、『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例』という制度になります。

相続又は遺贈により取得した、亡くなった方(被相続人)の居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。という制度です。

特例の対象となる「空き家」ですというためには、その家屋が相続開始直前において亡くなった方の居住に供されていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまる必要があります。
①昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
②区分所有建物登記がされている建物でないこと。
③相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

 また、①~③以外に「主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限る」という条件もあるので、母屋と離れがあるような場合は、母屋だけが対象となるので、敷地についても母屋分割合を計算することになります。

なお、この制度ができた時には、相続開始の直前まで亡くなった方が家屋にお住まい
だった場合のみが適用対象だったのですが、平成31年税制改正によって、平成31年4月1日以降の譲渡については、被相続人が要介護認定等を受け、亡くなる直前まで老人ホーム等に入所していた場合も、一定の要件を満たせば適用対象になります。
 
次に、この特例を受けるための「一定の要件」ですが、主なものとしては、

 * 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

 * 被相続人居住用家屋やその敷地は、相続時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。家屋を取壊す場合も、取壊してから譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

 * 次のいずれかの方法で売却したこと。

 1)相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

※売る時に、家屋は一定の耐震基準を満たすものであることが必要。

 2)相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に
被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
 * 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
こと。
* 売却代金が1億円以下であること。
* 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等
の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
* 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。
* 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋
で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

などがあげられます。

 そして、特例を受けるための手続き方法ですが、
  ①家屋所在地の市区町村にて「被相続人居住用家屋等確認書」の交付申請
  ②確定申告
をしていただくことになります。

 今回ご紹介した『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特
例』を使える事案かどうか具体的に判断するにあたっては、細かい確認も必要ですし、
この特例だけ見ると得かもしれないけど、相続全体で考えると意味がない可能性など
もありえますので、税理士・行政書士などの専門家に少しでも早く相談されることを
おすすめします。

 私も、提携している税理士さんと今回ご紹介した特例手続きのお手伝いもしている
のですが、申請に必要な提出書類の手配や空き家を解体するタイミングなど、色々と細かいところで神経をつかっています。

なので、この特例にあてはまりそうな相続事情をお持ちの方は、相続発生前でもよいとおもうので、少しでも早めに専門家へご相談しておかれる事をおすすめします。

今回は以上となります。ご参考になれば幸いです。

もし読者の方で、ご自身・ご家族の「相続」「終活」でのご心配事など、具体的に
質問などしてみたいな。とおもわれた場合は、もうすぐSo-ken主催のラストハウス
での無料相談会や座談会を再開されますので、ぜひ利用してみてくださいね。
引き続き私も参加しています。

また、このコーナーで取り上げてほしい「相続」「終活」のテーマや具体的なお悩み相談などもお待ちしております。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美

 

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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で亡くなられた方のご遺体は?

 今回まずは、この度の新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方にお悔みを申し上げるとともに、罹患された方とご家族・関係者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

 現在闘病中の皆様には一日も早いご快復を、感染の不安とむきあいながら自粛生活を過ごされている皆様には心身のご無事を心よりお祈り申し上げます。

そして、医療機関や行政機関の方々など、感染拡大防止に日々ご尽力されている皆様には、深い敬意と感謝を申し上げます。
 
 緊急事態宣言下での日常は不便・不安がいっぱいですが、こんな時だからこそ、最
善を祈りつつ、冷静に最悪にも備える事が大切だなと感じます。

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 また、この緊急事態に乗じ、デマ情報・フェークニュース・新手の詐欺商法など、新型コロナウィルス以外の悪者が横行するという現実は、人間の善悪表裏の一面をみるようでとても悲しいですが、こんな時だからこそ、正しい情報収集と分析・選択と行動実践できる人間力を問われているように感じます。

 わたしには、皆様に起こってしまった事実を変える力はありませんが、辛いや不安なお気持ちに寄り添い、災いは誰にでも起こりうる。という現実を冷静に受け止め、自分に今後起こりうるかもしれない最悪にも備えながら、どんな日々でも、その方に可能な楽しみ・喜びをみつけて笑顔で過ごして頂けるよう、法律とお金のプロとして、正しい知識や情報の提供・よりよい選択肢探しのお手伝い・サポートを今後も誠意をもって続けていきたいな。と改めて感じる今日この頃です。
  
 さて、今回は、「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により亡くなられた方のご遺体は24時間以内に火葬しないといけないの?お葬儀もできないの?」というご質問をいただいていますので、以下できるだけ簡単にお答えしていければとおもいます。
 
 芸能人の志村けんさんが亡くなられた時の報道等で、ご遺族の方がご葬儀もできず火葬にも立ち会えずのとても悲しいエンディングになってしまった。と知り、今回の新型コロナ感染症が原因で死亡した場合には、寂しく誰に見送られることもなく24時間以内に火葬され、骨壺に入った後にしか遺族には対面できないんだ。と思い込んでしまわれた方も多いのかもしれませんね。

 確かに、感染防止・遺された人の命を守るという大切な観点から、このような選択肢を取らざるを得なかったのかもしれません。

 ただ必ずしも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により亡くなられた方のご遺体を24時間以内に火葬しないといけないわけではなく、お葬儀も絶対できないわけではありません。

 厚生労働省のHP内、『新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け)』(令和2年4月15日時点版)の、『3 遺体等を取り扱う方へ』の問1に、次のように回答が示されています。

(回答)
新型コロナウイルスにより亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体は、24時間以内に火葬することができるとされており、必須ではありません(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第30条第3項、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令第3条)。
感染拡大防止対策上の支障等がない場合には、通常の葬儀の実施など、できる限り遺族の意向等を尊重した取扱をする必要があります。」

 この回答内容からすると、通常は、墓地、埋葬等に関する法律で24時間以内の火葬は禁止されているが、新型インフルエンザ等対策特別措置法にもとづき、24時間以内に火葬することが可能だし、当該法令やガイドライン等によると、感染防止対策がきちんとできるのであれば、葬儀も通常通り行うことが可能ではあるということです。

 実際に、ご遺体を、非透過性の納体袋に入れて密閉し、納体袋の表面を消毒すれば、ご遺族でもご遺体を搬送することは可能のようで、ご遺族の意向があって、柩を開けて拝顔したり、花入れすることはできなかったが、ほぼ通常の葬儀を行ったケースもあるようです。もちろん、この場合も、お身内以外の会葬者は極力列席を控えられたようです。

 しかし、個別のケースごとにお葬儀を行えるかどうかは、感染防止対策がきちんとできる葬祭業者を見つけられるのか、各市町村での火葬場事情はどうなっているのか、など日々変わる状況の中での選択肢を模索し、辛いですがご遺族が、何を一番大切に  すべきかをご判断されるしかないのが現実かなとおもいます。

 もう少し詳しい解説が欲しいなと思われた方は、上述した厚労省HP内のQ&Aの続き
にある問2『新型コロナウイルスにより亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体の搬送作業や火葬作業に従事する者が留意すべき事項はありますか。」の回答もあわせて確認いただければ、ご参考になるかとおもいます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html#Q3-2


以上、今回は、終活・相続に直接関連するお役立ち情報ではなかったかもしれませんが、新型コロナウィルス感染症に関するご質問を取り上げさせていただきました。ご参考になれば幸いです。

 一日も早いコロナ禍の終息と読者の皆様のご無事を心から願っております。
 そして、またSo-ken主催のラストハウスでの無料相談会や座談会でお会いできる日がくることを、楽しみにしたいとおもいます。

 それと、こんな時でも、相続・終活について具体的なお悩みをお持ちの方もいらっしゃるとおもいます。相談は早いにこしたことはありません。その際は遠慮などせず、ぜひ、So-kenさんの相談受付センターを通じて、お問合せくださいね。

では、また。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。

 

筆者「るみchan先生」こと岩井留美

 

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4月1日より施行される『相続』に関する新しいルール

 今回は、令和2年4月1日からいよいよ施行される相続に関する新しいルールについて、以下簡単にですが、解説してみたいとおもいます。

令和2年4月1日から新しく施行(実際に法律の効力が発生する)される相続のルールは、相続を開始した場合における遺された配偶者の自宅に居住する権利を保護する目的で新設されたもので、『配偶者短期居住権』と『配偶者居住権』の二種類の権利があります。

遺産相続

 

まず、『配偶者短期居住権』の概要ですが、

①相続開始の時(すなわち、夫婦の一方が死亡した時)に、遺された方の配偶者が、死
亡した者の所有建物に無償で居住していた場合には、遺産分割によりその建物の帰属が
確定するまでの間又は相続開始の時から6ヶ月を経過する日のいずれか遅い日までは、引き続き無償でその建物を使用することができる。
または、
②遺贈などにより、遺された配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や遺された配偶者が相続放棄をした場合などでも、当該配偶者は,相続開始の時に死亡した者の所有建物に無償で居住していた場合には,居住建物の所有権を取得した者は、いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるが,配偶者はその申入れを受けた日から6か月を経過するまでの間だけは、引き続き無償でその建物を使用することができる。
というものです。

この規定ができたことによって、これまでは死亡した者が、第三者に居住建物を遺贈した場合や反対の意思を表示するなどして夫婦間で使用貸借契約が成立していたと推定することができない場合に配偶者の保護に欠けていた点をカバーできる事がメリットとなります。また、常に最低6ヶ月は遺された配偶者が自宅にいられるという事も、今後の住処を検討できる猶予ができるという点はメリットといえるでしょう。

 次に、『配偶者居住権』の概要ですが、
相続開始時(すなわち、夫婦の一方が死亡した時)に、遺された方の配偶者が居住していた死亡した者の所有建物を対象として、終身又は一定期間、遺された配偶者にその使
用又は収益を認めることを内容とする法定の権利(『配偶者居住権』)を新設し、相続人間での遺産分割における選択肢の一つとして、遺された配偶者に『配偶者居住権』を取得させることができることとするほか、被相続人の遺言等によって遺される配偶者に『配偶者居住権』を取得させる ことができる。というものです。
 昨日までに発生した相続では、夫婦の一方の死亡により、遺された方配偶者が従前の住居に住み続けるためには、遺産分割により建物の所有権を取得するか、新しい所有者から賃借権の設定を受けることが必要となります。しかし、建物の所有権を取得してしまうと、共同相続の場合には、建物を取得するかわりに他の遺産(主に預貯金)を取得することができなくなり、住む場所はあっても生活費が不足してしまうケースや、賃貸契約を選択しても、長期にわたって賃料を支払い続けることで生活費を圧迫するケースなど、遺された配偶者の今後の生活への配慮にかけると問題点がありました。
 そこで、この問題点をカバーできればというのが『配偶者居住権』を新設した趣旨
となります。遺された配偶者が住み慣れた自宅での居住を継続しながら、預貯金等の生活費をカバーできる遺産も併せて取得できることが、この制度導入のメリットにはなりかとおもいます。

 ただ、実際の遺産分割協議の際には、居住建物の権利を『負担付所有権』と『配偶者居住権』に分け別の者が取得した場合に、『配偶者居住権』の価値をどう評価するのか。また、相続税や固定資産税についてはどのように計算されるのか。など新たな問題点も生じる可能性があります。個別案件ごとで、具体的なシュミレーションしたうえで、専門家へ相談しながら、慎重に活用していただくことをおすすめします。

 今回ご案内した『配偶者居住権』の他にも、既に昨年7月1日より施行されている『婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置』を利用することによっても、20年以上の婚姻期間があるご夫婦であれば、原則、遺産分割における配偶者の取り分を増やすことが可能にはなっていますので、併せてご参考にしてみてください。

 そのほかにも、相続に関する新しいルール(相続法など)が、高齢化の進展等に対する対応ということで、昨年1月13日から段階的に施行されています。

以前にご紹介した『自筆証書遺言の方式緩和』もそのひとつですし、『預貯金の払戻し制度の創設』・『遺留分制度の見直し』・『特別の寄与の制度の創設』なども既に施行されています。
そして、こちらも以前に簡単にご紹介しましたが、『法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法)』が、今年7月10日からいよいよ施行されます。

 どんな制度を利用するのが、貴方の相続では有効なのか。しっかり検討してみてくださいね。
また、具体的に相談してみたい。や、新しい相続法にご興味のある方は、So-ken主催のラストハウスでの無料相談会や座談会を利用してみてください。もちろん、私も参加しています。
また、このコーナーで取り上げてほしい「相続」「終活」のテーマや具体的なお悩み相
談などもお待ちしております。

 

では、また。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。

 

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死後の事務(葬儀・埋葬・未払金処理など)を、 生前に他人に依頼しておくことはできる?!

今回は、

「私は、妻に先立たれ今は1人暮らしです。娘はいますが、嫁いで遠方で暮らしており、ほとんど交流もありません。なので、自分の死後の手続き、特に葬儀や病院代などの未払金の清算などで苦労をかけたくないとおもっています。
まだ元気な今のうちに、必要そうなお金を預けて、娘に代わって必要な死後の手続きを親戚や信頼できそうな他人にお願いすることはできるでしょうか?」

 というご質問をいただきましたので、以下簡単にですが、回答してみたいとおもいます。 

死後事務

さっそく結論から書きますが、

依頼する内容が明確で実現可能なものであれば、他人に依頼しておくことは可能です。

方法もいくつかあります。

 

ご質問のなかにあった、葬儀や病院代などの未払金の支払いの他に、不要な生活用品等の処分・賃貸住宅であれば、その明渡し・遺体の引取り・埋葬・法要・永代供養などが、遺産相続手続きとは別に必要となる「死後事務」の例になります。

 

このような「死後事務」を他人に任せる方法(法形式)として、

①死後事務(準)委任契約
②負担付贈与契約
③信託契約
④負担付遺贈の遺言書作成
⑤遺言信託

などがあります。

 

①②③は、依頼する相手を決めて契約を締結しお金を事前に渡しておく方法です。

④⑤は、遺言書の中で相手に依頼し死後にお金も受け取れるようにしてもらう方法で

す。契約書と違って、遺言書は、遺言者の一方的な意思表示になるので、必ず死後事務をやってもらう必要がある場合は、依頼する相手に事前に伝えて、同意を得ておく必要があるでしょう。

 

まず、どの方法も、依頼者に意思能力がある間に準備する必要があります。

また、どの方法にせよ、自らの死後事務についてお金を預けたり、贈与することにな

りますが、万一、横領されたり、お願いした内容の為にお金が使われなかったとしても、死人に口なし。
その時には、既に自分で文句を言うことができませんので、本当に信頼できる人(法人でもかまいません)を見つけてお願いすることが大切だとおもいます。

それでも、「魔がさす」ということはありえます。裏切られることもありえますよね。

なので、そうさせないための抑止力となる有効な契約書や遺言書を、専門家に相談して作成しておくことをおすすめします。

 

 そして、ご紹介した①~⑤、どの方法を選択するのかは、ご依頼される「死後事務」の内容と依頼される相手が誰かによります。

 自分の希望を専門家に具体的に聞き取りしてもらって、どの方法がよいか説明してもらったうえで決めていただければとおもいます。

 

ここまで読んでいただいて、

①~⑤それぞれの契約や遺言の具体的なスキーム等についても説明してほしい。や、
具体的に相談したい。とおもわれた方は、So-ken主催のラストハウスでの無料相談会や座談会を利用してみてくださいね。
私も、専門家の一人として参加しています。

今回書かせていただいた「死後事務」に関することだけでなく、「終活」「相続」に関することでも相談可能です。

 また、このコーナーで取り上げてほしい「相続」「終活」のテーマや具体的なお悩み相

談などもお待ちしております。

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so-ken.jp

 

では、また。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。

 

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自分は『遺言書』を作成したほうがいいのかどうか問題(その1)

 今回は、「相続は揉める事が多いので、遺言書を書いておいてあげましょう。

と最近よく耳にするけど私には、30年以上住んでいる自宅(土地・建物)ぐらいしか遺産はないし、家族も仲悪くないし、家族以外の人に遺産をあげたいともおもってないから、わざわざ遺言書なんか作らなくても大丈夫ですよね?」というような要旨の質問を、いくつかいただきましたので、

以下、『自分は遺言書を作成したほうがいいのかどうか問題』について、簡単にですが、回答してみたいとおもいます。

遺言書イメージ

はじめにお伝えしたいこと!!

残念なお知らせですが、家庭裁判所での決着に持ち込まれた『遺産争い』を平成30年の司法統計を参考にご紹介すると、遺産分割事件で認容・調停成立件数が7507件。

うち、364件は遺産額の算定不能か不詳なので、分母数を、7507-364=7143件として計算すると、遺産総額が1000万円以下の案件が、34.7%(2476件)、5000万円以下までひろげると、80.1%(2476件+3249件=5725件)。
自宅不動産のみが遺産の方は、ほぼこの80.1%の中に入ってくるのではないでしょう
か。
とすれば、遺産相続で揉める可能性は他人事ではなく、自分事!!

今は家族仲良くても、相続時の事情によっては、お金が必要な相続人もいるかもしれません。(例えば、リストラや事故等で急にお金が必要な時期と重なった。とか子供達にもっと習い事をさせたいとか、目先のお金が優先される事情はたくさんありますよね・・)


遺言書がなければ、相続人全員一致でどうわけるか決めなさい。全員一致で決められなかったら、法律に従った割合で遺産を分けなさい。

というのが遺産分割ルールですから、相続人のうち一人でも「自分にも相続人として権利があるなら、権利分のお金はもらいたい」と主張した場合は、唯一の遺産である自宅を売却して現金化せざるをえない事態になってしまいかねません。
(遺産の分け方にはいくつか方法があるので絶対現金化しないといけないわけではないのですが、遺産のほとんどが自宅不動産のみというケースは現金化することが多いかとおもいます。)

なので、推定相続人が複数いて、そのうちのどなたか特定の人に、自宅をそのまま相続してもらいたい。というお気持ちが強いのであれば、遺言書まで作っておかれるほうが安心でしょう。

そして、遺言書には、必ず、なぜそのような遺言にしたのか。相続人全員の心に届くように、しっかり貴方のきもちも書いておかれることをおすすめします。

なぜなら、「亡くなった方が築いてこられた財産なので、誰に遺すのかは、亡くなった方の意思が一番尊重されるべきだから、法律のルールにのっとった「遺言書」があれば、まずはその中身を優先で聞いてあげよう。」という考えかたで遺産分割ルールがつくられているのですが・・・

その一方で、「でも、亡くなった方の暴走気味の意思によって遺された家族が生活できないようになるのも駄目だし、ある程度、相続人間の公平も保たんとね」という一種の歯止めルールとして、一部の法定相続人達には「遺留分」という期間限定ではありますが、遺産の一部を貰える権利が与えられているのです。

なので、その「遺留分」を主張しないで、私がこういう遺言をしたおもいをくみ取ってね。決して誰かをえこ贔屓したり、子供達への愛情に差があるわけではないんだよ。」というメッセージを添えておくことが、相続を争族にしないために大切な事だと、私は考えているからです。

とはいえ、ここまで読んでいただいても、「争うリスクがあるのはわかったけど、やっぱり遺言書を書くのは、ハードル高いし、自分の考えだけ家族に伝わったら、後は遺された家族を信じて、自分達でいいようにしてくれたらいいわ」と思われた方は、ぜひ
エンディングノート」だけは、書いておいてあげてください。
遺される家族が苦悩されるのは、意外と「まかせる」と丸投げされることなんですよ。
 
さて、ここまでは、妻と子供が法定相続人となる場合として回答してきましたが、
 もうひとつだけ、今回お伝えしておきたいとおもいます。
  
  遺言書がない場合は、法定相続人が全員で話し合うことになる。と前述しましたね。
 もし貴方に妻(または夫)はいるけど、子供がいない場合は、どれが法定相続人となるのでしょうか?

  この場合は、妻(または夫)とあなたのご両親、既にご両親が亡くなっているのであれば、あなたの兄弟姉妹(既に亡くなった兄弟姉妹がいる場合は、その子供達を含む)が、法定相続人となってしまいます。

  なので、常日頃の親戚づきあいの差はあるでしょうが、遺される妻(または夫)は、貴方の遺言書がないと、完全アウェーな立場で、遺産分割協議を取り纏め、自宅の権利を自分だけのものにするために大変なご苦労をされることが予想されます。

  だから、このような場合は、少額の遺産であっても、必ず「遺言書」を作成しておいてあげてください。

  その他、再婚のご夫婦で、前婚の時の子供とは別居していて、その子には財産は遺したくないなと考えている方なども、「遺言書」の作成を検討したほうがよいでしょう。

  あとは、いわずもがなですが、「事実婚」の夫婦の場合も、「遺言書」作成をおすすめ
 します。

他にも、同じようなケースにみえて、家族・財産事情は、十人十色!!
具体的なお気持ちをゆっくり紐解いたうえで、個別事情をじっくり検討し、「遺言書」まで必要かどうか判断することが、本当は大切なので、今回のブログを読んでいただいて、何か気になる点があれば、是非具体的にご相談いただければとおもいます。

また、実際に「遺言書」作ることにされた方は、無効にならない「遺言書」にすることが次に大切になってきますので、そこは専門家に相談しながら作成してくださいね!!

そして、今回最後にお伝えしたいのは、どんな事情の方も絶対書いておいたほうがいいのは、「エンディングノート」です。
  自分の意思がはっきりしているうちに、今すぐにでも、書き始めてくださいね。

 「エンディングノート」は法的な効果まで約束されていませんが、貴方の情報・おもい・意思をしっかり、大切な家族に伝えるツールとしては、とても有意義なものですよ。


「遺言」や「エンディングノート」作成・活用に関しては、お伝えしたい事・気をつけていただきたい事が、個別案件ごとに沢山ありますが、長くなってきましたので、今回はここまでとさせていただきますね。

では、また次号で。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。
                             

筆者「るみchan先生」こと岩井留美

 

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年始は『エンディングノート』の活用がお薦め!!

今日は、令和初の元旦、新しい1年が始まりましたね。みなさまにとって、充実した一年となりますように!!(願)

 みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、年初めということですし、今回は、以下、すこしだけ、
エンディングノート』作成のすすめ、活用方法について書かせていただきたいとおもいます。

エンディングノート

 日本人の寿命は、男性が約81歳・女性が約87歳。
一般的に考えると、65歳で仕事を引退されて平均寿命まで、男性で15年・女性で21年のリタイア後のライフプランニングは最低限必要ということになります。

これからは『人生100年時代』ですから、本当はもっと先までのライフプランも視野にいれてはおくべきかもしれませんね。

また、少子高齢・非婚化が進む中、長く生きるということは、介護が必要な状態や、認知症発症で後見人等が必要な状態になる可能性が増えるのに、介護や後見等をいくらで誰に任せられるのかという不安も出てくるということです。

このような背景を受け、シニア世代では、自分の臨終や死後に関する準備をする『終活』に関心が集まり、そのツールとして『エンディングノート』も注目され、書店等でも1コーナーできるほど様々な種類の『エンディングノート』が発行されています。また、市町村などによっては、無料で配布するようなものもありますし、インターネット検索すれば無料ダウンロードできるようなものも沢山でてきています。
(ちなみに、So-kenでも、無料で体験版エンディングノートをもらうことができます。)

エンディングノート』とは、一般的には「もしもの時のために、自分の人生のエンディング(終末期)について、自分自身の希望や情報を書留めとおくノートだと位置づけられています。
なので、自分のために書くものというよりは、自分にもしものことがあった時に、家族(遺族)が困らないように、自分に関する日常生活に必要な情報や自分の終末期の過し方や最期に関する希望を書き遺すことが主目的と考えられているため、「お迎えが来るのが近くなってきたな」と感じる年齢になってから書く、「備忘録」兼「最後の要望書」のようなイメージをもたれている方が主流のようです。

しかし、私がご提案させていただきたい『エンディングノート』作成の主目的は別のところにあります。

 それは、人間も生物である以上必ず「死」は100%、長寿を全うされる方もいれば、不遇な事件事故や病いによって突然の死が訪れる方もいるのが現実。
だからこそ、そのいつ訪れるか確定できない最期の時であっても、それまでの人生をより自分らしく快適にできうるかぎり心残りなく生き抜いていただきたい。
そして、周囲の人にも、是非その生き方を理解して協力してもらってほしい。

そのためにも、節目・節目で自分自身の過去・現在を確認・整理し、自分らしく楽しく笑顔で最期の時まで生き抜く選択ができているか『人生の棚卸作業』をしたり、これからの『人生計画』を書込むためにエンディングノートを活用してほしい。
というものです。

 また、大切にされてきた家族や友人・知人の方々にも自分の選択した生き方へのおもいやエンディングにむけての願い、そして感謝などを伝えるメッセージノートとして、日常の中で『エンディングノート』を活用してほしいとも考えています。

よって、『エンディングノート』という名前から、かなりご年配の方が書くものとの固定観念があるかもしれませんが、成人された方なら、誰でもなんどでも書いてほしいと私は思っています。

人生の節目・節目で、自分自身のおもいとむかいあうことで、つぎのステージの方向性や覚悟が決まり、さらなる活躍や幸せづくりへと一役かってくれることでしょう。

また、遺言書とは異なり、『エンディングノート』生前から活用するノートです。
ご夫婦・親子・二世代三世代家族みんなで取り組んでいただくコミュニケーションツール、絆ツールとしても有意義な使い方が可能ですので、ぜひ家族や親族が集まる機会の多い、また、節目として気持を整理しやすいこの年初めの時期に、家族行事のひとつとして体験してみてください。

そして、書いてみて、また家族で話し合ってみて、わからない事・ご心配事などでてきましたら、ぜひお気軽にご相談くださいね。

 ご希望があれば、So-ken主催のラストハウスで『エンディングノート』書き方講座なども企画させていただきたいとおもいますので、こちらもお気軽にお声掛けくださいね。

では、今回はここまでということで、最後までお読みいただきありがとうございました。

次号以降また、皆様からの「相続」「終活」に関する質問等に具体的にお答えしていきたいとおもいます。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。

筆者「るみchan先生」こと岩井留美

 

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『リバースモーゲージ』で老後資金問題は解決?

今回は、
リバースモーゲージという方法を使うと、
死ぬまで自宅を手放さなくても老後資金がまかなえる。
という話を耳にしたのですが、それってどういう仕組みなのですか?」
とのご質問をいただきましたのでお答えします。

リバースモーゲージの4つのリスク

リバースモーゲージ』とは、簡単に説明すると、

主に、高齢者が居住する住宅や土地などの不動産を担保として、
一括または年金の形で定期的に金融機関から融資を受け取り、
受けた融資は、借り手の死亡時等に、その担保不動産を売却し、
元利一括で清算する仕組みです。

皆さんがよくご存じで利用された方も多い『通常の住宅ローン』は、「購入する自宅を担保に金融機関から一括で融資を受け、毎月返済していく」というものに対して、

リバースモーゲージ』は、自宅を担保に金融機関から定期的にまたは一括で融資を受け、最後に一括返済する」というものなので、逆住宅ローンみたいなものとおもえば理解しやすいでしょうか。

リバースモーゲージ』を利用することで、人生100年時代に必要といわれている「年金以外に必要な2000万貯金?!」がなくても、老後資金や介護費用が不足したときに、自己所有の自宅に住み続けながら生活費を捻出することが可能になるかも。ということで、最近また注目されてきているようです。

実は『リバースモーゲージ』のしくみは、もともと高齢者の持ち家に着目した低所得者向けのセーフティネットとして、都道府県社会福祉協議会が実施した「不動産担保型生活資金」という制度だといわれています。

保有財産がほぼ自宅だけなのに、今後もらえる年金だけでは老後資金がきびしい。とおもっておられる方にとっては、心強い老後資金確保の手段のひとつにはなるかとおもいます。

ただし、利用する前に知っておいてほしいのは、自宅を担保にする『リバースモーゲージ』には、主に、4つのリスクがあるということです。

1つ目:「長生きリスク」

生きている間に借入総額が不動産の評価額に達する可能性があり、その場合は、生きている間に結局売却して清算となるため、より年老いてから別の住み家を探さなくてはならないのに資金がない状態となってしまうことも・・・

2つ目:「相続人リスク」

借主である所有者が亡くなった後、自宅が売却清算されてしまうので、配偶者や子どもが同居している場合には、相続人が現金で借入金総額を返済できないかぎり、住む場所を別途確保する必要があります。

3つ目:「金利上昇リスク」

固定金利商品でないかぎり、借入の途中で金利が上昇する可能性はあり、その場合、受け取り総額が減ることになります。

4つ目:「地価下落リスク」

不動産の評価額が下がると、追加担保が必要になったり、貸止めや返済を迫られる可能性もあります。
 
 実際に、これらのリスクを考慮した金融機関が損をしない『リバースモーゲージ』商品となっているため、自宅の土地がある地域・住宅の構造や耐震性・申し込める人の年齢制限など、借入額等応じてしっかり査定を受けることになります。
なので、自宅をお持ちの誰でもが、老後の生活資金や介護費用にあてるために利用できる仕組みとはいい難いとおもいます。安易にとびつかず、専門家のアドバイスなども聞きつつ、自分や大切な家族にとって利用価値がある仕組みかしっかり見極めながら、活用していただければとおもいます。

 今回 ご説明した『リバースモーゲージ』のほかにも、所有者ではなくなるけれども、一定の賃料を払って今まで通り自宅に住み続けられる『リースバック』という方法や、逆に、老人ホームへの転居などで住まなくなった自宅を利用してもらう『JTIのマイホーム借上げ制度』なども、老後資金づくりの手段として注目されていますので、比較してみるのもいいですね。

他にも、「不動産」の活用や相続承継に関しては、気をつけていただきたいことが個別案件ごとに沢山ありますが、長くなってきましたので、今回はここまでとさせていただきますね。

もし、ご自身・ご家族の「相続」「終活」でのご心配事など、具体的に質問などしてみたいな。とおもわれた場合は、So-ken主催のラストハウスでの無料相談会を利用してみてくださいね。

筆者「るみchan先生」こと岩井留美

 

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