『相続放棄』あるある話(貴方は大丈夫?)

行政書士ファイナンシャルプランナーの岩井留美です。

(私のプロフィールはこちらです)

今回は、私が実務で相続手続きなどの相談をうけていて度々出くわす「相続放棄」に纏わる実務あるある話の中から1つご紹介します。

相続

「私は、〇〇の相続の時に、相続放棄してますねん。」とおっしゃる方に、重ねて「相続放棄はどういう方法でしましたん?」とお尋ねすると、

大抵の方が、「他の相続人との話し合いの時に、私は遺産一切いらん。と断り、他の相続人で遺産は分けてもらいましてん。」とお答えになります。

でも、実はそれでは日本の法律上は、「相続放棄」したことにはなっていません!!
なので、後日、もし、その亡くなった方に莫大な負債が見つかった場合は、お気の毒ですが、原則、他の相続人さんと同じ立場で、その借金を背負わなくてはいけません。


ではそうならないためには、どのような方法で「相続放棄」をすればよかったのでし
ょうか?
 
 回答としては、
「法律のルールに従った『相続放棄』(民法938条参照)をすべきでしたね。」となります。

 法律のルールに従った『相続放棄』の方法ですが、
①亡くなった事実と自分がその方の相続人になったことを知った時から3ヶ月以内に
②亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
③「相続放棄」の申立てを行います。
(「相続放棄申述書」と関係者の戸籍等を提出することに「なります)
④審判の受理によって、「相続放棄」と認められます。
  
 上記の手順で『相続放棄』することで、その相続に関しては、初めから相続人でなかった。と初めて取り扱ってもらえることになるので、借金も含めた包括遺産について一切関わりを持たなくてもよい立場になれるのです。


だから、本当に、亡くなった方の遺産について一切関わり合いを持たないことを望む場合は、正規ルートでの『相続放棄』手続きをお忘れなきようご注意くださいね。

それと、「今回は相続放棄しないといけないな」という可能性がある場合には、注意してほしいことがあります。

遺産の全部または一部をすでに処分してしまった場合は『相続放棄』できなくなります。
安易に、

①亡くなった方名義の請求書が少額だから払っておいてあげよう。だとか、

②亡くなった方の部屋が賃貸物件なので、遺品整理だけ先にやっておこう。などは決してなさらないでくださいね。

また、「相続放棄」は、相続人各自が申立てする必要がありますから、たとえば、多額の借金を遺して夫がなくなり、相続人である妻と子は家庭裁判所相続放棄手続きをきちんとした。だけでは、借金は棒引きにはならない可能性があります。

というのが、もし、その夫の親が生存していたら、今回の妻と子の相続放棄によって、新たな相続人となってしまい、親も正規の相続放棄手続きをしないかぎり借金を背負うことになります。

親が亡くなっていた場合は、夫の兄弟姉妹がいれば、その人達が新たな相続人とし
て、 同じように借金を背負う羽目になりかねません。
そして、「相続放棄」する場合は、第3順位の相続人が誰か。を確認して「自分は○○の理由で今回相続放棄手続きをしたよ」ということを伝え、同じように相続放棄する方法があることを伝えてあげてください。

それが、今後の円満な家族・親戚関係の為に、私がお薦めしたいことです。

その方にも、まだ「相続放棄」の手続きで気をつけていただきたいことは、個別案件ごとに沢山ありますが、長くなってきましたので、今回はここまでとさせていただきますね。
 
もし読者の方で、今回の「相続放棄」の事や、ご自身の「相続」でのご心配事など、
具体的に質問などしてみたいな。とおもわれた場合は、So-ken主催のラストハウスでの無料相談会を利用してみてくださいね。
また、このコーナーで取り上げてほしい「相続」「終活」のテーマや具体的なお悩み相談などもお待ちしております。

では、また。これからも色々なかたちで皆様のお役にたてれば幸いです。

筆者「るみchan先生」こと岩井留美