『お墓』の移動(改葬)には、お役所の許可も必要!!

今回は、 

  「田舎(遠方)のお墓に入っている両親の遺骨を、親戚も減ってお墓参りも大変になってきたので、自宅近隣エリアに墓地を見つけて移したいと思っているのですが、どんな手続き等が必要ですか?」とのご質問をいただきました。

 

以下、「墓地、納骨堂(以下「墓地等」という)又は火葬場の管理及び埋葬等が国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われること」を目的とする『墓地、埋葬等に関する法律』(以下「墓理法」という)と、
墓理法施行規則やその関連法令等で決められているルールに沿って、できるだけ簡単に解説させていただこうとおもいます。

墓じまい 改葬

  埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことを「改葬」といいます。(墓埋法 第2条3項) 

 今回のご質問内容も、お二人分の遺骨全部を移動するということだとおもいますので、この「改葬」を行っていただくことになります。

 

 『「改葬」を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない』
と墓埋法第5条1項に規定があるので、今回も、ご両親の現在のお墓のある市町村で許可を受ける必要があります。

 

許可を受けるために必要な具体的な手続き方法としては、

①遺骨が現在ある市町村長に対して、次の事項を記載した申請書を提出します。

(墓埋法規則2条1項)

・死亡者の本籍、住所、氏名及び性別(死産の場合は、父母の本籍、住所及び氏名)

・死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)

・埋葬又は火葬の場所 、埋葬又は火葬の年月日

・改葬の理由

・改葬の場所

・申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者との関係

 

②申請書提出時には、以下の書類も一緒に提出する必要があります。(同規則第2条2項)

・墓地等の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面

(これにより難い特別の事情のある場合にあっては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)

・墓地使用者等以外の者にあっては、墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれ

に対抗することができる裁判の謄本

・その他市町村長が特に必要と認める書類

 

    ※そして、①②と見ていただいて解るように、改葬の場所を申請書に書く必要があるので、移動先のお墓等を準備できていることが必須ですし、だいたいの市町村で申請時添付書類として、移動先の墓地の「使用許可証・受入れ証明書」などの書類を要求されます。 

 上記の手続きの他にも、墓地等から遺骨を取り出すため、現在の墓地等の管理者の同意も必要でしょうし、墓地等との契約内容や規則に、「改葬」について取決めがあることも十分考えられます。
その確認も忘れず必ず行ってください!!

   

 この他、「改葬」は、遺骨を管理処分できる権限のある者、すなわち、遺骨の所有者(通常は、祭祀承継者が所有者とされることが多いです)であるか、所有者から同意を得た者が手続きする必要がありますので、この点もご留意ください。

  

 今回解説させていただいた「改葬」のほかに、「墓じまい」「分骨」「散骨」など、現在のお墓等から遺骨を取り出す行為を行う際には・・・

 寺院墓地の場合などの離檀料・永代供養料の払い戻し有無・墓石の処分費用等での

金銭トラブル事例も散見されます。
安易に考えずに、その都度専門家に相談しながら、一番良い方法を選択されることを強くお薦めします。

 

 その他にも、まだ「お墓」に関連する法律や行政の手続きで気をつけていただきたいことは個別案件ごとに沢山ありますが、長くなってきましたので、今回はここまでとさせていただきますね。

筆者「るみchan先生」こと岩井留美

 

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